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偶然出会った964カブリオレ、店主の一言で決めた購入

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ポルシェには「どれが一番」という問いに、簡単な答えがない。PORSCHE GATEを主宰する高橋広規は、生涯で50台以上の旧車・趣味車に乗ってきたが、いまだにこの問いには「どれも良い、それぞれ違う」としか答えられないという。その理由の一端を教えてくれるのが、964カブリオレとの出会いだった。

その964カブリオレは、探していたわけではなかった。たまたま立ち寄った中古車店の店先に、何気なく置かれていたのだという。991ターボSから始まり、911 2.7のレストア、DP935ルック購入と、それまでに何台ものポルシェを見てきた高橋だが、この一台には目が止まった。状態を確かめ、その場で購入を決めた。店主も「これはいい車や」と太鼓判を押したという。

ポルシェという車には、走行に関わる部分には徹底的に投資し、それ以外は簡素で合理的に作るという設計思想がある。高橋がポルシェに惚れ込んだのは、まさにこの思想ゆえだ。そして年代を遡るほど、その思想が生の形で伝わってくる。964カブリオレを走らせたときに感じたのも、まさにそのダイレクト感だったという。オープンエアで感じる路面の情報、ステアリングの手応え、エンジン音の抜け方。現代の911にはない、車と対話しているような感覚がそこにあった。

もちろん、古いポルシェを所有するということは、故障や不便とも付き合っていくということでもある。高橋自身、「旧車は、故障や不便すら楽しめる人でなければ難しい」と語っている。それでも手放せない魅力があるからこそ、旧車は今も多くのオーナーに愛され続けているのだろう。

これから空冷ポルシェに触れてみたいという人に向けて、高橋は個人的な意見として「空冷なら964が入口として良いと思う」と話す。964は空冷らしい機械的な手応えを残しながら、現代の道路事情でも扱いやすいバランスを持つモデルだ。もし中古車店で偶然、状態の良い964に出会うことがあれば、それは高橋がそうだったように、運命的な一台になるかもしれない。


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